多発性筋炎・皮膚筋炎とは、自己免疫疾患で筋細胞に炎症が起こる病気です。
多発性筋炎と並べて挙げられる病気に皮膚筋炎がありますが、これら2つの病気は皮膚の症状によって区別され、特徴的な皮膚症状を伴うものが皮膚筋炎、伴わないものが多発性筋炎です。
これらは自分の骨格筋細胞に対して免疫細動が攻撃することで起こる自己免疫疾患で、膠原病のひとつです。
本来免疫細胞は外部から侵入してきたウィルスや敵に対して攻撃をしますが、自己免疫疾患では自分の健康な細胞をも攻撃してしまうのです。
攻撃を受けた筋肉細胞は炎症を起こし、腕や太もも、首などの体幹に近いところから筋力低下が起こります。
多発性筋炎は主に骨格筋に炎症が生じる病気と考えられていますが、関節や肺、心臓、消化管などの筋肉以外の臓器が障害されることもあります。
発症の男女比は1:3と女性に多く、全年齢でみられますが中年以降での発症が多い傾向にあります。
初期症状は緩やかに発現することが多く、
太ももの筋肉が障害された場合・・・座った状態から立ち上がりにくい、階段が昇りにくい
二の腕の場合・・・腕が挙げづらい、持ったものがいつもよりも重く感じる
首の場合・・・頭が枕から持ち上げにくい
など、日常生活動作が困難になり、力が入りにくい症状がみられるようになります。
ほかにも関節症状(関節痛)、呼吸器症状(咳・息切れ)、心臓の症状(動悸・脈の乱れ)、全身症状(全身の倦怠感けんたいかん・発熱・体重減少)などを伴うことがあります。
どのような症状が現れるかは人によって異なります。
皮膚筋炎の初期症状は、
上まぶたの赤みを伴ったむくみ、肩首の紅斑、
手指関節部の皮膚がカサカサと盛り上がった紅斑など、痒みを伴うことが多くみられます。
診断は身体診察に加えて、血液検査や筋電図検査、MRI検査、筋生検など、さまざまな検査を組み合わせて総合的に診断します。
治療の中心は薬物療法で、主に経口ステロイドを用いて治療を行います。
一般的には中~高用量ステロイド療法を2~4週間ほど行い、病気の改善に合わせて徐々にステロイド量を減らしていきます。
多発性筋炎は筋力低下をきたす病気であるため、薬物療法とともに早期からのリハビリテーションが重要です。
リハビリの開始時期やその運動強度は患者によって異なりますが、リハビリテーションにより筋肉の炎症を抑える効果や筋肉内のエネルギーを産生するミトコンドリアの機能が改善することが分かってきました。
最近では早期より病状に応じたリハビリテーションを導入していくことが重要であると考えられています。
また悪性腫瘍の合併も見られますので合わせて充分な検査が必要です。
多発性筋炎と皮膚筋炎の初期症状は、筋力の低下というなかなか気づきにくい症状です。
しかし、進行してしまうと喉や心臓の筋力が低下して危険な場合があるため、早期の治療が大切です。
もし多発性筋炎または皮膚筋炎だった場合、定期的な通院が必要になってしまいますが、医師と相談して病気とうまく付き合っていきたいですね。
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