年齢を重ねると体にはさまざまな変化が現れますが、それは口の中も例外ではありません。
口腔ケアの目的は、口の中の粘膜や歯、舌などの汚れを取り除く「器質的な口腔ケア」と、
舌や頬などの筋肉、飲み込みの力などの機能維持を目的とする「機能的な口腔ケア」の2つがあり、
特に、ご高齢者への口腔ケアは2つのケアを行うことでその効果が高まります。
口腔機能が低下すると、「噛んで味わう」「飲み込む」といった動作をスムーズに行えなくなります。
そうすると十分な栄養を摂取できずに栄養不足状態になり、その状態がが続くと
運動機能の低下や認知症の進行、さらなる摂食障害につながる可能性もあります。
歯磨きや口腔内の洗浄をすることで歯周病などを予防するだけでなく、
また介護する側の負担も減らすことにつながります。
では口腔ケアの効果目的について見ていきましょう。
主に4つあります。
① 唾液の分泌促進
② 誤嚥性肺炎の予防
③ 口臭予防
④ 虫歯、歯周病の予防
① 唾液の分泌促進
通常、食べ物を噛む動作を繰り返すことで、唾液の分泌を促しています。
しかしご高齢者の多くは入れ歯になったり、柔らかい食事が中心となっているため噛む力が衰えてしまいます。
こうなると噛む回数が少なくなり、唾液の分泌量が著しく低下します。
また、口の中に食べ残しがあったり、細菌で覆われているとだ液が出にくくなり口腔内が乾燥します。
②誤嚥性肺炎の予防
食べ物が誤って気管に入ってしまったり寝ている間に唾液を誤嚥し、肺で炎症が起きたものを誤嚥性肺炎といいます。
口の中の細菌を減らすことで発症率を減らす効果が期待でき、
口腔体操や嚥下体操に取り組み、舌や頬の筋肉を鍛えることで飲み込む力を維持していくことも重要です。
③口臭予防
口臭は口の中に歯周病菌などの細菌が大量に発生し、糖を分解する時に匂いが発生するものです。
また、歯周病などの影響で出血がや膿がある場合に匂いが強くなります。
歯周病やむし歯、舌の汚れ(舌苔)など綺麗にすることで歯周病菌を減らすことで、口臭予防が期待できます。
④虫歯、歯周病の予防
ご自分で歯磨きができないご高齢者の場合、口腔ケアがしっかりとされていないと歯ぐきや舌に歯石が溜まってしまうことがあり、
歯周病菌が多くなり炎症を引き起こします。
歯周病は年齢とともに悪化しますが、痛みがないため気づいたときには症状がかなり進んでいて、歯を失う場合も多くあります。
他にも、よく噛むことで認知症発症の予防につながり、最近では歯周病菌がアルツハイマー病や心臓病、糖尿病悪化の因子になるといった研究結果もあるようです。
高齢者にとって口腔機能の維持は、自分の口で食事を食べれることでQOL(生活の質)を高め、「おいしく食べる」という日常生活の満足感を得たり、口から栄養を摂取して体の健康を維持することに繋がります。
口腔ケアは、口の中だけでなく体全体の健康を維持するためにとても大切なケアです。
早期から正しい口腔ケアに取り組むことで歯周病を予防し、ご高齢者がいつまでも自分の歯で食事を食べれるようにしていきましょう!
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